初めてテンカラを振ったのは前述した秘密の川に初めて行った時のことだ。
崖の上から降り口はないかと足元を覗いて見ると真下の淵に一匹のみごとな山女魚が悠然と泳いでいる!
テンカラ釣りは私の憧れ。職漁師の釣法であることと「テンカラ」という言葉の響き。魚がヒットした時の衝撃などを本で読むたびに胸がときめいていた。
私の仕掛けは市販の毛鉤(1つ50円)にラインはチタンだ。
空き地で練習をしたもののフロロのラインでは上手く飛ばせず、チタン製のライン3.3m(約1,500円…高い!)にしてみたら結構飛ぶ。
「これならイケる!」ど素人の私は(今でも)遠投さえ出来れば良しと思っていた。そこでこの日はテンカラ釣りに挑戦する目的の釣りだった。
山女魚のいた淵からずっと上流で、ようやく降りられそうな場所を見つけた。
焦る気持ちを抑えながら淵の見える所まで近づくと、山女魚はまだいた!
水深1.5mの淵の真ん中、水面から60cm下に定位している。
25cm位いの大物だ。 前方から狙っても良かったのか?
今でも分からないが、私は本の主人公を真似して背後から狙う事しか知識がなかった。
這うように姿勢を低くし、音を立てないように、視線さえ気が付かれそうで、魚を見ないようにしながら後方に移動した。
釣れるかな…釣れないだろうな…絶対釣れないよ…釣れなくても仕方がない。でも釣りたい。
そんな呪文を繰り返しながら何とか山女魚の真後ろにあった大きな岩陰に到達。
覗くと山女魚の後姿がしっかり見えた。奴は気付いていない。
竿を伸ばしてラインを付けて白い毛鉤を選んで… 毛鉤が山女魚の鼻先10cmに落ちる瞬間をイメージする。
勝負は一投のみ!頭上に障害物はない。
息を吸い込み、竿を立て、振り下ろした。
毛鉤はフワーッと孤を描いて山女魚の上に飛んで着水、の寸前!ロケットのように山女魚が水面に跳ね上がって来た!
「あぁぁーッ」アワセルもヘッタクレもない。出たのは声だけ。
心臓はバクバク鳴り、体の中がカーッと熱くなった。
これが生まれて初めてのテンカラの経験になった。
その後も何度かテンカラ釣りに挑んではみたものの、結局我慢ができず、すぐに餌釣りに切り替えてしまうため未だに1匹の釣果もないままだ。
やっぱり釣りはハリを作る事から始まるんだろう。
毛鉤を自分で作らないからテンカラの思いも希薄だった、と今は思う。
自分で作った毛鉤で岩魚が釣れたらどんなに嬉しいだろう。
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そんなことないよ!
てつさんにとっての師匠は自分の経験でしょ。
私は渓流釣りを始めるのが遅すぎたな?
まずは掲示板に載せてみました。
自分でもすっごく汚い毛鉤だと思っています。
やめれば良かったかな・・(T_T)
たろうさんがテンカラに興味を持たれますとは、とても嬉しいことです。是非とも頑張って下さい。
普通にコメントを書くのとどう違うんでしょうか?
たけぱんさんとてつさんのお陰で来年はテンカラと言うより毛鉤で釣る楽しさを知る事ができそう!
でもねぇ…こんな妖怪の私でも何故か渓流釣りだけは弱気なんですよ。だって・・(元)女の子だもん!(^_^;)
>あまり美しくないところがいいですね!(^^ゞ
あははは、ここだけの話だけど、Tokeiさんの毛鉤なんてもっと美しくないよ。
オラァのボロ毛鉤を見てTokeiさんが言ってたもん。
「たけ、毛鉤に凝るなよ。」ってね。
昔、爺ちゃんが言ってた。
「たけぇ、岩魚ぁ釣るんは毛鉤じゃねぇどぉ。岩魚ぁ、人が釣るだでなぁ。」ってね。
Tokeiさんも爺ちゃんも同じことぉ言ってるんかも知れないねぇ・・・
あまり美しくないところがいいですね!(^^ゞ
いつもの提灯釣りの仕掛けに餌ではなく
毛鉤を付ければ良いという事ですね?
そぉっと竿ぉ伸ばして、シャッて岩魚がきたら竿ぉたたみながら取り込むだよ。
オラァのお気に入りは「たけぱんボロ雑巾スペシャル毛鉤」
papaさんのHP、秋山郷の毛鉤交換会に載ってるよ(^^;
下からブワーアッって飛びついて来たのを見て
ぶったまげてしまいましたよ。
テンカラの振れない小沢ばかりに入っていたし、
どうしても餌釣りから離れられずにいました。
だってさ、貴重な時間を釣れないままでは
耐えられないじゃない。(^_^;)
たけぱんさんのお気に入りの毛鉤はどんなですか?
全身にアドレナリンが駆け巡るだよ。
今年の夏、大阪からお客さんが来てね、提灯仕掛けの毛鉤釣りを体験してもらっただよ。
シャッて出てきた岩魚にアワセられなかったけどな、「うぉっ、めっちゃ早やっ。」って手を震わせてたわ。
たろうさんが毛鉤釣りに再挑戦する時は連絡ちょうだいな。
オラァの毛鉤でよかったら送るで。
毛鉤一つに50円も使っちゃいけねぇよ。